令和の苦言愚見(2)【読書ノート】支配者には自分たちの正当性を裏付けてくれる筋書きが必要

「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい 経済の話。」ヤニス・バルファキス・著、関美和・訳、ダイヤモンド社

一気読みです。これは面白い!

破綻したギリシャの元財務大臣が書いたこの本。プロローグでは「経済モデルが科学的になればなるほど、目の前にあるリアルな経済から離れていく」、エピローグでは「経済を学者にまかせるのは、中世の人が自分の命運を神学者や教会や異端審問官にまかせておいたのと同じだ」と。タイトルに書いたように「支配者には自分たちの正当性を裏付けてくれる筋書きが必要」であり、多くの経済学者や経済理論は、それを提供しているに過ぎないということです。
そのほかにも銀行は貸付するお金を「どこからともなく、魔法のようにパッと出す」とか、経済が破壊的な循環に陥ったとき「助けになるのはあの存在しかない。国家だ。」とか、ストンと落ちるものがあります。
日本とは違い、ユーロ建ての公債で破綻しそうになったギリシャでは、その助けは欧州中央銀行が行うべきはずなのに、何もしてくれなかったという恨みが見え隠れもしますが。(そういう意味で自国通貨建ての国債100%の我が国は、政府子会社の日銀が何もしないというあり得ない政策を実行しない限り、破綻などしようのないことは前回の記事に書いた通りです。)

そのほか、資本主義=市場社会の成り立ちや、労働力は資源ではあってもお金や原材料とは決定的に違うこと、機械やテクノロジーが人間にとって代わる未来は、それによる利益を独占しようとする勢力があることでバラ色が暗黒にもなること、などなど鋭い指摘が数多くあります。

あまり書きすぎると「ネタバレ」になりますので、これ以上はぜひ本書を読んでみてください。